平成14年4月18日の原子力産業新聞に当財団が開発した「漂流式ブイシステム」が掲載されました。このシステムは緊急時、海洋放射能をモニタリングすることを目的として開発されたもので、小型で機動性を有し、リアルタイムで放射性核種の計測が可能なものです。
このブイは写真に示すような形状で、直径60cm、高さ100cm(アンテナ部分を除く)、重量約50Kgとなっています。このブイの下部にγ線を感知するためのNaI(Tl)シンチレーション検出器が組み込まれており、検出器で検出されたγ線は、そのエネルギーに応じて分別され、5分間計測毎に無線を通して基地局に送られます。この時、その場の水温、塩分、GPSによるブイの位置も計測して送信されます。
基地局ではブイ側から送信された無線信号を解読して、ブイの位置などを受信機のCRT上に表示するとともに、RS232Cを介してパーソナルコンピューター(PC)にデータを伝送します。PCはそのデータをもとに、γ線スペクトルの表示、ブイの現在位置、移動速度、方向の表示を行います。
検出器、無線装置などに必要な電力は、ブイに内蔵されたバッテリーによって供給されるため、連続計測可能な日数は最大約7日間です。しかし、基地局からブイの電源のオンオフが可能なため、一定時間毎にブイを呼出し、計測を実施することで1週間以上の計測も可能です。無線到達距離は海上においては140Km以上あっても計測可能でした。
このブイは、海水の流れとともに拡散する海水中の放射能をモニタリングできるよう設計されましたが、陸上に設置することも可能です。
今後、実海域試験をとおしてより良いシステムへとグレードアップを図る予定です。


(平成14年4月18日刊行 原子力新聞(第2133号)より抜粋)


     漂流式ブイ本体